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梅毒
輸血は、血液のなかの肝炎ウィルスやHIVばかりでなく、つねに細菌やウィルスなどによってもたらされる 感染症を媒介する危険をかかえています。これらを除去することが副作用防止の大切な課題です。

ここでは梅毒の病態とはどのようなものかを解説します。
梅毒は、スピロヘータ(注1)の一種、 梅毒トレポネーマ(注2)の感染によって起こる慢性性病の一つです。

トレポネーマは皮膚・粘膜の小傷から進入し、やがて全身に広がりますが、組織に現れる炎症性の病変は、 線維芽細胞・リンパ球・形質細胞の強い増殖と壊死を伴うことが、その特徴とされています。

ヒトにおける梅毒の経過は次の4期にわけられます。

[第1期]
感染後3ヶ月位までをいい、トレポネーマが局所に限定した状態で存在します。 感染後3週間でトレポネーマの侵入部位に初期硬結(かたまり)を生じ、潰瘍化します。 感染後4〜6週間で抗原による梅毒血清反応は陽性となります。

[第2期]
倦怠感・食欲不振・夜間の頭痛などの前駆症状をもって第2期に入りますが、 おおよそ感染後3年までをいいます。皮膚・粘膜には梅毒疹および脱毛が見られます。 この第2期での梅毒血清反応はかならず強い陽性となります。

[第3期]
感染後3年以上を経過したものをいいます。この病期になると、臓器梅毒を特徴づけるゴム腫 (ゴムのような弾性をもつ腫瘍)が見られ、心血管系・骨・中枢神経系など全身の器官が侵されます。

[第4期]
そして、感染後10〜15年にして第4期となりますが、この病期には脳や脊髄を侵して麻痺狂 (慢性の脳炎と脳変成で、主に痴呆や感情・意志の障害、瞳孔に変化がみられるなどの症状がみられる)をあらわします。
梅毒の伝染は、外部から病原菌の侵入による後天性梅毒(獲得梅毒)と経胎盤性伝染による先天梅毒にわけられます。 また、梅毒は免疫性をもっていますが弱く、梅毒に羅患していても新たに感染することがあり、重感染といいますが、 一度治癒したのちに感染する再感染と区別されます。

赤十字血液センターでは昭和27年から梅毒の検査を行っていますが、感染初期には検査で見つからない場合があります。
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【注1】 スピロヘータ(spirochaetaまたはspirochetes)とは、 らせん状の形態をしたグラム陰性の真正細菌の一グループのこと。
【注2】 トレポネーマとは、スピロヘータの一種。
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